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相談員の募集

このシリーズは、電話を受けている相談員が、相談の中で感じたことを紹介したものです。内容は物語り風にしていますが、実際の相談内容とは異なります。

「もう、学校なんか行けへん」

 「もしもし、私ね。県立の学校に合格してんー」
いきなりはずんだ声が飛びこんでくる。
 「そう、よかったね。おめでとう」
何のことかよくわからないままに次の言葉を待つ。

 「あのね、私、昨年の10月頃に学校で友達とけんかをして仲間はずれになってしまったの。それ以来、何だか急に勉強するのが嫌になって、『もう学校なんか行けへん』とお母さんに反抗したり、弟のすることにいちいち腹がたってイライラして自分でもどうしていいかわからなくなって『いのちの電話』にかけてみたの。
 その時、おばさんがね、『ああ、しんどいだろうね。でも、ちょっと1年先の自分がどこでどうしているか考えてごらん。今、勉強出来ないことを友達や弟のせいにして後悔しないかな?何もかも放り出すのは楽だけど、本当にあなたはそれでいいのかなあ?』と言われたの。
 それから友達のことや家族のこと、小さい頃のことなんか一杯聞いてもらったの。私ね、小さい時から幼稚園の先生になりたかったので、その話をしていたら、やっぱり高校へは行かないといけない。そして、出来れば短大にもと少しずつ思えてきてね。私の入った高校は皆が言うようなトップ校とは違うよ。でもね、私とても嬉しかった。発表を見て帰ってきたら思い出したの。あの時、最後におばさんが、『学校に入学したら電話してね』と言ったことを。誰かわかる?あの時の人に代わって欲しいけど。報告したいから代わってー。」

 残念ながら今ここでは代われないこと、その代わりに必ずそのおばさんに伝わるように約束する。最近、荒れすさぶ中学生の実態をよく耳にするが、もしかしたら、この子もあのまま勉強嫌いになり、家族とのかかわりを拒み、非行に走ったかも知れなかったと考える時、こんなに素直で、自分の将来をきちんと見つめ、約束を守ってくれる子がいることを知り心が温まる。
 彼女のはずんだ声を耳に残しながら、新しい制服を身にまとった少女の澄んだ瞳が想い浮かび、心から前途を祝福する。


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社会福祉法人 奈良いのちの電話協会