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奈良いのちの電話は
花 ひとりで悩まないで・・・
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このシリーズは、電話を受けている相談員が、相談の中で感じたことを紹介したものです。内容は物語り風にしていますが、実際の相談内容とは異なります。

「ひとりっ子の死に泣きつづける日々」

3度目のコール音のあと、受話器をそっとあげて「はい、奈良いのちの電話です」と告げる。向こうからは「あのう・・・」と震えた声で、そのあとがつづかない。「どうぞ、ごゆっくり。お待ちしますよ」と、波立っているかも知れない胸のうちが、静まるのを待つ。 

「わたし・・・、子どもを死なせてしまって・・・。もうすぐ一周忌がくるの。“イタイヨウ、ママ”と泣いたあと、あの世に逝ってしまった。あの子の顔が、夜ごと浮かんできて・・・」「いま、あの子はどんなところで、何をしているのか知りたいの。できたら、そこへ行ってあげたいの。私も死なないとそこへ行けないのなら、死んでもいいと思っているんです・・・」
 すすり泣きながらの訴えである。「そう、つらいでしょうね」あいづちを打つうちに、話があちらに行き、こちらに戻り、夜の刻が流れていった。

この人は40歳のとき、難産のすえ待望の女の子を分娩。ひとりっ子だっただけに眼の中に入れても痛くないと思うほど、ご主人とともに可愛がった。
  両親の愛を一身に浴びながら順調に成長していった子が、徒歩15分ほどのところにある学習塾からの帰途、運転免許を取りたての青年の無謀な運転によってはね飛ばされ、救急病院で“イタイヨウ、ママ”を最後の言葉に、天国に召されてしまった。いつも塾に迎えに行っていたのに、高熱でふらふらしていたので迎えに行けなかった母親のつらさは、言葉にあらわせるものではなかった。

彼女は「犯人を殺したい」「子どもを返せ」と叫ぶ。「どうしても子どもに会いたい。どうしたら会えるのでしょうか」。悲嘆にくれる母親の心情を想像することはできるが、わが子に先立たれたことがない聴き手としては、温かく寄り添う言葉がみつからない。
  ただ、ひたすら聴きつづけ、うなずきつづけるしかないままに、窓の向こうが明るくなった。今日が昨日になって、明日が今日になっていく。「明日は明るい日になるように」とひたすら祈りつつ・・・。

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社会福祉法人 奈良いのちの電話協会