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このシリーズは、電話を受けている相談員が、相談の中で感じたことを紹介したものです。内容は物語り風にしていますが、実際の相談内容とは異なります。

「死ぬことばかり考えているの」

 
「ね、どうして生きていかなきゃならないの…。どうしたら死ねるのか教えて」、真夜中、こんな問いかけを受けると身構えてしまう。
 「私、もう20代も終わり…。ずっと駄目なの。家族とは、表面では、なごやかに食事もし、お喋りもしているけど、真剣な相談になると聴いてもらえない。中学生くらいから、おかしくなっちゃったの。家出も考えたけど、一人でやっていけるような自分じゃないし、友達といっても、上っ面の話で笑い合ってるだけ。自分も嫌で嫌でたまらない。一人になって、いつも泣いているの。睡眠薬をのんだり、手首を切ったりしたんだけど、死ねなくてー。傷跡を見ながら、死ぬことばかり考えてるの」、深い呟きと沈黙の混じった重々しい声。
 聴いていくにつれ、その深く重いことに戸惑わされる。同じ屋根の下で長年暮らしていながら、家族の絆が切れている。その無関心さに、知らぬ間に傷ついていく。冷たさにさいなまれていく。一緒に生活していても、ともに生きてはいけないのか…。
 そんな彼女に、どんな言葉をかければいいのだろう。やはり究極的には、相談員自身の人としての生き様が問われてくるのではないか。痛ましさに目を背けず、ぶつかり合って、生きていって欲しいと願う。
 「本音だけでは生きていけないけど、建前だけでも生きることはできないのね。こんなことまで話できたのは生まれて初めてよ」、と言われるとき、家庭や学校、地域にあたたかい本当の触れ合いが必要だなあ、とつくづく思う。
 こんなことを考えながら、朝のまぶしい光を浴びて、電話センターを後にした。



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