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花 ひとりで悩まないで・・・
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このシリーズは、電話を受けている相談員が、相談の中で感じたことを紹介したものです。内容は物語り風にしていますが、実際の相談内容とは異なります。
     
「知人の自殺予告に・・・。」
 
 電話を取った途端に、大声に思わず受話器を遠ざけた。電話の向こうの興奮がビンビンとこちらに伝わって来る。先ず、自分の心に「落ち着け」と言いきかせながら聴く。

 大声の主は、40歳位の男性で、小さな会社の経営者らしい。たった今、九州に居る知人が自殺予告をしてきた。「とにかく、明日一番の飛行機で行くからそれまで待て」と言って切った。明日行ってどう話せば良いのか。「いのちの電話」を思いついて電話をかけたと言う。
 その知人の男性は、38歳。中学を卒業して大阪に就職し、その後3、4回転職している。少しの間、自分の会社でも働いたことがあるという間柄で、一年程前に九州へ帰り結婚したと聞いていたが、その女性と別れたことが原因のようだ。話の間に「彼はまじめでいい奴なんです」と少し涙声になり繰り返すこの人は、きっと人情家のようだ。だからその男性は助けを求めたのであろう。
 「あなたをとても信頼しておられるんですね。だから、あなたに電話してこられたのですね。明日行ってよく聴いてあげたら、落ち着かれるかも知れませんね」

 私たち相談員は、日頃、緊急事態も予測して電話の前に座る。しかし、全く予期せぬ時に予期せぬ人から、自殺予告を受けた人の狼狽ぶりは大変なものであろう。
 彼を死なすことはできない、と思う一途な気持ちから自然に出てきた言葉の強さが、あの大きな声であったようだ。。
 自分のために、一番の飛行機で飛んできてくれたこの人と話すことで、きっと生に向かって前向きな第一歩を歩んでいかれることを祈りつつ受話器を置いた。

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社会福祉法人 奈良いのちの電話協会