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花 ひとりで悩まないで・・・
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このシリーズは、電話を受けている相談員が、相談の中で感じたことを紹介したものです。内容は物語り風にしていますが、実際の相談内容とは異なります。

「突然切られた電話・・・

 「ちょっと相談したいんです。大したことではないんですが。結婚して7年になるんですけれど、主人が食べ物の好き嫌いが激しくて文句ばかり言います。カレーが好きだと言って、5ヶ月も続けさせるので私はもう付き合い切れません。第一、栄養の面でも悪いでしょ。だから、どうしたら良いのか・・・」

 日常生活の不満を、食事から派生してこと細かく、まくし立てるような早口で語ってくる。だが、この人の本当に言いたいことは何だろうかと、相手の語りの中から模索する。彼女自身、大したことではないとは言っているが、どうも奥に何かを秘めているように思う。
 
 「そう、大変ね」と次の言葉を待つ。やがて、少し落ち着いた口調で語り出す。「必要がないのに、主人は月額1万円のトランクルームを、隣の家が借りたからという理由で自分も借りたいと言い出し、反対すると暴力をふるう」「3歳の子どもの見ている前で卑猥なことをしたり、私に暴力をふるうので、子どもはわけの分からないままに父親の真似をしたりする」「子どもが熱を出した時でも、親らしい態度をみせなかった」など。

 24歳という若い奥さんとは思えないような乾いた声で、「あと2年ほどして友人からの借金が返せたら、主人とのことを考えようと思う・・・」と荒れた家庭生活を吐露する。しかし、生活に追われている様子の彼女が、借りたお金をどんな方法で返済しようと思っているのだろうかと、言葉には出さないが不安がよぎる。別れたいが、子どものことや生活のことなど、いろいろな思いが交錯し耐え切れなくなって掛けてきたのだろうか。

 「あのね、ずい分早く結婚なさったでしょ。今24歳で、7年前といえば17歳のときね。ちょっと・・・倦怠期に入ったのかな・・・」と言いかけると、突然切られた。そんなこと聞きたくないのか。切られた電話の向こうを思い、しばらく受話器を握ったまま、自分の発したあまりにも杓子定規な言葉を恥じた。彼女からそれを話すまで、待てば良かったのかも知れない。その時、彼女の思いを汲み、ともに考え合っていたなら、彼女の思考にゆとりと広がりが生まれていたのではないだろうか。

 「子どものような夫」と「幼い妻」が家庭を持ち、子どもを育てることの大変さを、まざまざと考えさせられた30分であった。

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社会福祉法人 奈良いのちの電話協会