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このシリーズは、電話を受けている相談員が、相談の中で感じたことを紹介したものです。内容は物語り風にしていますが、実際の相談内容とは異なります。

「お酒に頼ってしまって」

  「もしもし、何を話してもいいんですか」と問いかけがあってしばらく無言。「どうぞ・・・」と促し、やや間をおいて「もう、私、死んでしまいたいんです」。あわてて「どうして・・・?」と聞き返す。「これ以上・・・」とまでは聞き取れたが、後は言葉にならず、つぶやいているだけで、すすり泣くような声が流れる。

 こちらの不安も一気に高まる。「何があったのですか?」と聞く。「私、なんだだか疲れましてね・・・、ものすごく飲んで・・・、主人が女遊びをしましてね・・・、そのときから病みつきになってしまって・・・」
 「飲むってお酒を? ご主人が?」「いいえ、私が。以前から何かあるとお酒に頼ってしまって・・・。もう疲れました。人なんか信用できませんからね。薬を飲んで死ねたら・・・。ここに農薬もあるし・・・」
 「ちょっと待ってください。世の中には信用できない人もいるかも知れませんが、みんなそうとは限らないと思うのですけどね・・・」。「死のうと思っている人間にそんなこと言っても、あかんのと違いますか」と反撃してくる声はろれつが回っていないようである。
 「あなたの辛い思いを聴かせてもらえますか・・・」。それから約40分にわたる話が始まる。夫の女遊びや、夫の親戚から無理に商品を買わされるなどで、経済的にも苦しかった。そんななかで、自分は今までずっと夫と3人の子どもを中心に家庭を大切にしてきた。ここまで続いた話がしばらく途切れる。いろんな思いが胸に渦巻いているのであろう。

 「お弁当も主人の気に入るように、子どもたちにも好きな物を入れるように気をつけて精一杯やってきた。でも主人は何ひとつ分かってくれない。気を遣い過ぎて、もう疲れてしまった。今はただ、主人と別れたい。どうやったら別れられるだろうか」と言うのである。お酒の酔いがこんなことを言わせているのだろうか。
 そのうちに、こちらも落着きを取り戻して話していると、次第に酔いが醒めたようで「すみませんでした。いろいろとめちゃくちゃなことを言いまして申し訳ありませんでした」と、先ほどまでとは打って変わった礼儀正しさである。

 献身的に支えてきたにも関わらず、報われることのなかった夫への不満。そうした思いから逃れたくて、少しずつ飲み始めたお酒が次第に量を増してしまったのだろうか。

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社会福祉法人 奈良いのちの電話協会